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〈帰国子女体験記:鈴木萌さん〉その7:ミドルスクール続編

ミドルスクールの冬休みを終えて帰国まであと2ヶ月を切った頃、校長先生の声で呼び出しがありました。 ”Moyuru Komukai, please come to the office.” アメリカの学校は「 校長室に呼ばれる=悪事を働いてお説教」なので、「え?私なにかした??それとも英語できないわりによくがんばってるって褒められるかなあ」などほんとに身に覚えなく校長室に向かいました。

当時の校長先生は年配の女性で、おそらくはラテン系またはヒスパニック系でした。生徒の間では怖い校長と有名でした。 校長室に入ると、テーブルの上に私のAIWA製のポータブルカセットプレーヤーとイヤホンが置かれていました。スクールバスの乗車時間がおそらく学校で一番長かった私は、大好きなビートルズを聞きながらバス通学をしていました。

”Moyuru, is this yours?”

“Yes.”

“Students are not allowed to bring these electric devices to the school. Might be a bomb.”

「え??!bomb??なんのこと??」

混乱してすぐに理解できず、何度か言われて理解できたときには恥ずかしさと「爆弾を持ち込んだテロリスト」みたいな扱いに悲しくなり涙が出ました。

カセットプレーヤーについてはほかの生徒も何人か持ち込んでいたのでまさか禁止事項とは思ってもいませんでした。 しかも最悪だったのは、その場で返却してはくれず、母親を呼びなさい、と言われ、母に電話をして学校まで来てもらったことです。

家では意外に怒られることはなく、家族で
「カセットプレーヤーが爆弾なんて大袈裟だけどアメリカらしいなあ」
「ダイハードみたいだなあ」
「まあ日本の中学校だったらもっと厳しくて絶対持ち込めないけどね」
などと言っていました。

しかし、2001年の同時多発テロが起こった時や、高校の銃乱射事件を見るたびに笑い事ではなかったことが今でも思い出されます。 次回はいよいよ日本に帰国、中学校2年生に編入します。

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